2016年3月25日金曜日

「小説 フレッシュプリキュア!」感想

みなさま、こんにちは。
夏木ひつじです。

さて、今日は先日発売されました「小説 フレッシュプリキュア!」の感想を書いていこうと思います!
とってもかわいい表紙が特徴です!



小説 フレッシュプリキュア! (講談社キャラクター文庫)







小説 フレッシュプリキュア!
(著)前川淳 (イラスト)香川久
(講談社キャラクター文庫)




昨年発売された「小説 ふたりはプリキュア」「小説 ハートキャッチプリキュア!」に続く第3弾は、フレッシュプリキュアの小説版です!

作者は前川淳さんという方で、「フレッシュプリキュア!」のアニメ本編では、脚本とシリーズ構成を担当していました。
アニメ本編に携わってきた方が書くこの小説は、いったいどのような物語になっているのでしょうか。
私・夏木ひつじは読む前からわくわくしっぱなしでした!

そのわくわくに負けないくらい、本当に面白い作品になっていますよ。
まさに想像以上でした。

ここでは、なるべくネタバレを避けつつ、お話のあらすじや私の感想などを書いていきますね。
なお、本作はアニメ本編の最終回から1年後の話が描かれています。
必然的に、アニメにおける結末部分には触れることになりますので、アニメ未視聴の方は全話を見終えてからこのページに戻ってきてください(笑)!


さて、この物語はラブたちが中学3年生になり、そろそろ進路も決めなければならないころのお話です。

ラブはブッキーに勉強を教えてもらっていますが、なかなかはかどらない様子。
ラブとブッキーは高校受験を控えていますが(もちろん別々の高校です)、美希は高校へは行かず、モデルの仕事も辞め、なんと母親の経営する美容院を継ぐために美容師を目指しています。
せつなはラビリンスを幸せいっぱいの国にしようと現在も奮闘中。
三色だんごの一人、坊主頭の沢くんは進学せずに寿司職人の修行に励み、大富豪の御子柴はアメリカへ留学することが決まっています。

1年前にダンス大会で優勝してからというもの、ラブたちはそれぞれの夢や受験勉強などで忙しくなり、みんなで集まってダンスをする機会もなくなりました。
自然と、ミユキさんとも疎遠になっています。

それぞれがそれぞれの道を歩みはじめている、といえば聞こえはいいですが、冬が近づいている寒々しい描写もあいまって、どことなく寂しげな空気感が漂う書き出しです。

そんな中、ミユキさんが所属する3人組のダンスユニット「トリニティ」が、解散の危機に瀕していました。
その発端は、メンバーのレイカがトリニティを脱退したいと突然言い出したことです(正直、アニメ本編ではミユキさん以外はあまり出番がなかったので、レイカさんと言われてもミユキさん以外の2人のうちどちらのメンバーだったか覚えていません汗)。
彼女がトリニティを脱退するのは、やむを得ない家庭の事情でした。
しかし、その場の話の流れといいますか、売り言葉に買い言葉で「だったらもう、勝手にすれば!」と言い放ってしまったミユキさん。
彼女はずっとその言葉を後悔していました。

そんなミユキさんの前に、フードを被った魔フィストという男が現れます。

「二度と戻らない幸せを嘆き悲しむ苦しみ・・・・・・その苦境から逃れ、楽になれる方法を私は知っている・・・・・・」

ミユキさんは、その方法を教えてほしいと言いました。
彼は答えます。
魔法の言葉を口にすればいいと。

「その言葉を、お前はもう知っている・・・・・・」

ミユキさんは、操られるようにして禁断の言葉を口にしました。

「幸せなんかいらない」

すると突然、ミユキさんは化け物の姿に変わってしまったのです。
異変に気付いた弟の大輔がミユキさんの部屋に入ると、化け物になったミユキさんが窓から飛び出していくところでした。

「フシアワーセー! ダダダ、ダーンシーング!」

そんな言葉を叫びつつ、踊りながら町を練り歩くミユキさんの化け物。
そして、彼女に触れた人間は、自分の意思とは関係なくカクカクとした奇妙な踊りをおどってしまうのでした。

大急ぎでラブたちの元へ駆けつけた大輔は、プリキュアに変身して姉を助けてほしいとラブたちに頼みます。
しかし、ラブたちはもう1年もプリキュアには変身していません。
そもそも、変身アイテムのピックルンたちもスウィーツ王国に帰っているのです。

そこへ、突然泣き出したシフォンの超能力でピックルンたちが出現!
ラブと美希とブッキーは、1年ぶりに「プリキュア・ビートアップ!」。

しかし、このフシアワーセ(ピーチたちがそう名付けました)は、かなりの強さです。
ブランクのあるピーチたちは、とどめをさしきれません。
そのとき、赤い光が現れて、もう一人の戦士がやってきました。
キュアパッションです!

突然アカルンが自分の元にやってきたため、状況を察して人間界へ戻ってきたというパッション。
久しぶりに4人がそろい、フシアワーセを浄化することに成功しました!

しかし、このあと四つ葉町では、ミユキさん以外にもフシアワーセになってしまう人が続出します。
あちこちで発生するフシアワーセを撃退していくプリキュアたち。
しかし、このままではキリがありません。
問題は、どうしてこのような化け物が生まれてしまったかです。
その原因を突き止めなければ、いつまでたってもこの戦いは終わらないのです。

メビウスのいなくなったラビリンスは、今や幸せの国として復興するべく歩みはじめているので、このような仕業をするはずがありません。
だとすれば、一体だれが黒幕なのでしょうか。

そんな折、フシアワーセの強さに懸念を抱いたタルトはスウィーツ王国へ戻り、クローバーボックスを取りに森の祠へと向かっていました。
しかし、祠はクローバーボックスとともに跡形もなくなっていて・・・・・・。



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さらに、人間界でもいろいろな問題が起こっています。
進路について言い争いになってしまった美希とブッキーのケンカ。
婚約が破談になったショックで学校を休み、突如意識を失うラブの担任教師。
かつて「おへそのないフェレットっぽいもの」としてタルトを追いかけまわしていた芸能人・アニマル吉田の番組打ち切りと彼の暴走。

ラブは担任教師を励ますためにマンションを訪れ、せつなはフシアワーセが暴れる現場にいつも現れるあやしい男を追っています。
美希とブッキーはお互いにギクシャクしたものを抱えたまま謝るタイミングをつかめずにいて、タルトはアニマル吉田にさらわれたアズキーナをカオルちゃんとともに追いかけます。

同時多発的に発生したこれらの問題は、すべてあの魔フィストにつながっているのですが、このあたりが本当に面白い!
登場人物それぞれの様子がスピード感あふれるテンポで描かれていて、次から次へと移り変わる場面にページをめくる手が止まらなくなりました。

この物語の中盤は、「ラブと担任教師」、「美希とブッキー」、「タルトとカオルちゃん」、そして「せつな」という多視点で進行していきます。
こうした場面転換を多用する手法は、見た目でどの場面かすぐにわかるアニメならいざしらず、小説では高度なテクニックが必要といわれています。
しかし、本作では読者に混乱を与えることなく、それぞれの視点を使い分けているのです。
プリキュアたちやカオルちゃんに個性があるおかげでわかりやすいということもありますが、なによりも著者の前川淳さんが、とても丁寧にそれぞれのパートを描写しているためでしょう。

ところが、実は「フレッシュプリキュア!」の場合、こうした手法は結構やりにくいんですよね。
それというのも、せつなが瞬間移動を使えるからです。

いろいろな場所で発生した一見別々に思える事件を同時進行で追っていくというストーリー展開では、それぞれの登場人物が単独で行動して情報を集め、最後にみんながそろって事件の全容を知るというのが物語進行のセオリーです(この手法を見事に使いこなしていたのは、高橋英樹さん主演の時代劇「三匹が斬る!」です。シナリオ作成のお手本のような名作ですよ!)。
ところが、「フレッシュプリキュア!」ではせつなが瞬間移動を使えるために、わざわざみんなが別々に動かなくても全員一緒にどこにでも行けてしまうんですよね。

あまりにも便利すぎるせつなの瞬間移動ですが、この小説版ではサウラーとウエスターの会話から、「1日に何度もやると疲れるらしい」という設定が付け加えられ明かされました(笑)。
よく、「携帯電話が普及してから恋愛ドラマが作りにくくなった」という話を聞きますが、それと同じような「便利さゆえの不自由さ」に対して、著者が格闘したあとが見られます。
作り手もなかなか大変そうですね(笑)。

さて、この物語はプリキュアたちのアニメ本編以後の様子や、フシアワーセたちとのバトルという大きな見どころがありますが、それ以上に一番の面白みは「魔フィストの正体はいったい何なのか」という物語の本筋部分でしょう。

プリキュアのそれぞれが、(それとタルトとカオルちゃんが、)魔フィストを追い、みんなの幸せのために奮闘します。
もちろんアニメ本編を作っていた人が書いているだけあって、プリキュアたちの個性があふれていますし、物語も「フレッシュプリキュア!」そのものです。

私はこれを読んでいて「フレッシュ」の劇場版を思い出したのですが、調べてみると著者の前川淳さんは「フレッシュ」劇場版の脚本も担当していたんですね。
登場人物たちの個性と、かけあいの面白さ、そしてちょっぴり怖さがあるストーリー展開など、本当に「フレッシュ」の1年後の物語として見事に仕上がっています。

ファンならば絶対に読んでおきたい作品です!




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