夏木ひつじです。
今日は「小説 ふたりはプリキュア」についての感想など書いてまいります。
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小説 ふたりはプリキュア
(著)鐘弘亜樹 (イラスト)稲上晃
講談社キャラクター文庫
最初に本作を数行読んだところでビックリしました。
これ、かなり文章を書き慣れてる方が書いてますよね。
「ハートキャッチ」の小説と同じくスタッフの方が書いているんだろうと思い込んでいましたので、いきなり不意打ちパンチをくらった気分になりました(笑)。
著者の鐘弘亜樹さんという方を私は知らなかったのですが、その名前をぐぐってみたところ、仮面ライダーやテレビゲームのノベライズを書いている方なんですね。
ただ、ノベライズ専門の作家にしては著作数が少なすぎますから、どなたかの別名義なのでしょうか。
あるいは、東映アニメーションでオリジナルアニメの原作としてクレジットされる「東堂いづみ」のような、プロジェクト名だったりするのかもしれません。
情報持っている方いましたら、ご一報願います!
さて、先日の「小説 ハートキャッチプリキュア!」の記事と同じように、今回も結末や核心部分には触れずに書いていきますが、ある程度のストーリーラインについてはお伝えすることになります。
「自分で読むまで先のことは知りたくない!」という方は、ここから先は小説を読了した後でお読みくださいませ。
それでは、「小説 ふたりはプリキュア」の感想を書いていきます!
アニメ「ふたりはプリキュア」が始まったのは今から11年前です。
当時放送を見ていた子どもたちは中学生から高校生くらいになっていますね。
この小説も、そのくらいの年齢に達していないとちょっと読むのがつらいかと思います。
上述したように、おそらく作家の方が書いているのだと思いますが、この方の文体のクセなのか少し文章に装飾過多なところがあるので、小さい子には読み進めにくいかもしれません。
描写のほうも「ハートキャッチ」がとても簡潔な文体で書かれていたのと比べると、風景描写や人物の動きの描写などが大変細かく描かれています。
アニメのノベライズだからといって活字嫌いのお子様に読ませてみようと思っても、かえって「やっぱり小説って面倒くさい」と思われてしまうかもしれません(考えすぎ?)ので、親御さまが勧めるよりは自主的に読んでみようと思った場合に買ってあげるほうがいいかもしれませんね。
さて、次は内容についてです。
まずはこの物語の作中時期ですが、これは「ゲキドラーゴを倒してからポイズニーを倒すまでの間」であることが比較的早い段階でわかります。
キリヤくんが人間界に忍び込み、ポイズニーがあの手この手でプリキュアを倒そうと画策していた時期ですね。
今作も、敵として立ちはだかるのはポイズニーとキリヤの姉弟です。
物語はなぎさが自室で髪型のチェックをしているところからはじまります。
それを茶化すメップルに怒ったなぎさがいつもどおりのにぎやかなやりとりを繰り広げたあと、今度は弟の亮太とのドタバタがはじまります。
このあたり、書かれているセリフがアニメの声で聞こえてくるくらい、キャラクターの特徴をつかんでいて楽しかったです。
このとき亮太が持っていた「ハッピーガッパー」という幸せを呼ぶマスコットキャラクターの人形が、なぎさの通うベローネ学院でも流行っていました。
なぎさの親友である志穂や莉奈も持っています。
ところが、なんだか様子がヘン。
亮太が持っていた物よりも、安っぽい感じがするのです。
話を聞くと、なんと1個50円という超大特価で売っていたのだとか。
放課後、なぎさはほのかと連れだって、1個50円で売っている人がいるという公園へ向かいます。
そこにいたのはなんとも怪しいカッパのきぐるみを着た人。
その正体は、この少し前に描かれているキリヤくんとカッパの会話から、ポイズニーであることが読者には明かされています。
あいかわらず
ポイズニーは「ハッピーガッパー」のニセモノを町の人々へ大量に売りさばいていました。
志穂や莉奈が買ったのも、このニセモノの「ハッピーガッパー」だったのです。
そこにはある目的があって・・・・・・。
さて、本作ではいくつかの話の流れが並行して進んでいきます。
その中の大きな柱のひとつが、ほのかの祖母・さなえさんの子どものころの出来事でしょう。
このさなえさん、アニメ本編においてもただ者ではない雰囲気を持っていたおばあちゃまです。
アニメ第28話「レギーネ登場!ってもう来ないで!」では、さなえさんの子どものころのエピソードが展開されました。
光の園から1日(人間界換算で100年)早く虹の園へやってきていたミップルは、そのころさなえさんの手に渡っていたのです。
戦後の焼け野原の中で、さなえさんはミップルが化けているカードコミューンを片手に、ある坂道を登って丘の上まで行きました。
そこから見渡せたのは、かつてあった町の姿ではなく、空襲によって崩壊した瓦礫の山でした。
この小説で描かれるのはその数年後、日本全体が戦争からの復興に向けて歩みはじめたころのお話です。
さなえは「子供とも大人とも言えない、微妙な年齢」になりました。
おそらく、今のほのかと同じくらいの歳か、ほんのちょっと上といったところでしょう。
あるとき、アオイデパートという大型百貨店が町に建てられるということで、住民は立ち退きを迫られました。
心情的には生まれ育った家を手放すことはしたくありませんが、新しい時代に向けて歩きはじめている世の中の流れの中で、人々はそれも仕方のないことだと思っているようです。
そんな中、かつてのさなえの友人のひとり、シゲちゃんが最近悪い仲間とつるんでいるとの噂があって・・・。
さなえさんの話と現代の話が交互に描かれる中、キリヤくんとほのかの関係も描かれました。
サッカー部の練習でスタンドプレーを繰り返すキリヤくんに、上級生の部員が突っかかっていきます。
キリヤくんはまるで相手にしていないのですが、ふたりとも罰を受けて練習から外されました。
一方、ほのかは科学部の部室に来ていたのですが、このところ学校には欠席者が多く、部室にはだれもいません。
ふと窓の外を眺めると、部活中のはずのキリヤくんがひとりで佇んでいます。
ほのかはキリヤくんに話しかけ、いっしょに科学部の実験をはじめました。
割れないシャボン玉を作る実験をしながら、ふたりは会話を重ねます。
実はここのシーン、私、ちょっと混乱しました。
この物語がゲキドラーゴ撃破(第11話)後からポイズニーとの決戦(第20話)のあいだであることは既に述べたとおりですが、私はその中でもかなり話数の若いほう寄りだろうと思っていたんですね。
キリヤくんとほのかとの間にまだまだ壁があるように感じたからです。
ところがこのシーンで、いっしょに農作業をした話(第17話)が出てくるんです。
あの農作業回で、キリヤくんのほのかに対する感情にはかなり大きな変化が起こったはずでした。
しかも、そのときケガをしたキリヤくんの指にほのかが絆創膏を巻いたことが大きなファクターとなってその後の展開に関わってくるのですが、この少し後の会話でその傷も「もうとっくに治ってる」というのです。
こちらの記事で特集した第18話でもその指にはまだ絆創膏が巻かれていますから、この話は「第18話終了後から第20話のあいだに起こった出来事」ということになってしまいます。
これはキリヤくんの「告白」の直前です。
しかし、それにしてはキリヤくんのほのかに対する態度がそっけなさすぎるんです。
そんなモヤモヤを抱えながら読んでいたんですが、終盤になってやっと氷解しました。
これは、アニメ本編とは別の、特別な時間軸で起こっている事件だと思って読めばよかったんです。
これから読まれる方は、私のようにアニメの進行具合とのすり合わせなどは深く考えないようにすることをオススメします(笑)。
逆に言えば、この物語はキリヤくんがほのかとの距離感を縮めていく過程を、アニメとは別のアプローチから描いているんですね。
そんな中で、物語終盤になると虹の園にとんでもない事件が起こります。
それはアニメの展開とは大きく異なるもので、アッと驚く展開になるでしょう。
その事件については、どうぞみなさまの目でお確かめくださいませ。
さて、プリキュアシリーズ初となる小説化が、「ふたりはプリキュア」と「ハートキャッチプリキュア!」の同時発売という形で実現しました。
さらに、「Yes!プリキュア5」と「フレッシュプリキュア!」の小説版も2016年3月に発売予定だそうです。
(2016年3月追記:「小説 フレッシュプリキュア!」の感想を書きました! 「プリキュア5」のほうは発売がもう少し先になるようですね)
そのころには「Go!プリンセスプリキュア」も最終回を迎えていて新しいプリキュアがはじまっている時期ですね。
あっちもこっちも楽しみなことが多すぎです(笑)。
プリキュアのいろんなことにワクワクが止まりません!
みなさま、そのときを楽しみに待ちましょう!
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