夏木ひつじです。
本日は「スイートプリキュア♪」の第8話「チャララ~ン!セイレーンのニセ親友大作戦ニャ!」をご紹介いたします。
「スイート」の序盤はふたりのプリキュア・響と奏がしょっちゅうケンカしているのですが、この回はそこにセイレーンが絡んで、ふたりの仲を引っかき回していきます。
物語は柔道場で響が稽古をしている場面からはじまります。
柔道部の助っ人となった響は、試合に向けて柔道部部長と稽古をしていました。
ところが、組手の最中、響の長い髪がジャマになって一本取られてしまいます。
髪はまとめておいた方がいいという部長の言葉に、稽古を見に来ていた奏があるものを差し出しました。
「これ使って」
それは、かわいらしい黄色のシュシュ。
これをお守り代わりに、響はふたたび稽古に向かいます。
昔から続いていた誤解も解け、響と奏の仲も良くなっているこの頃。
ふたりのハーモニーパワーもどんどん強くなっていると、柔道場の畳に正座しているハミィがつぶやきます。
と、そんな様子を見ていた人影・・・ではなく猫影がいました。
「ということは、ふたりの仲が悪くなればなるほど、ハーモニーパワーは下がっていくってわけね」
そんななか、響たちのクラスで「友達という題で作文を書く」という宿題が出されました。
なんだか小学生みたいな宿題ですが・・・。
響と奏は目配せして、お互いのことを書こうと合図しています。
その様子を窓の外にへばりついて見ていたセイレーンは、自分が響の親友になってふたりの仲を引き裂く作戦を考えつきました。
それこそ、この回のタイトルとなっている「ニセ親友大作戦」です!
まずは情報収集からということで、廊下を歩く響と奏の後をつけます。
「響は友だちのこと、なんて書くの?」
「わたしの友だちといえば、やっぱスポーツでしょ!」
「なにそれ、わたしじゃないの?」
「わたしのこと、全然わかってないなあ、奏くん。それでも親友?」
「ふむふむ、親友とは仲がいいだけじゃなくて、相手のことがよ~くわかってるってことなのね」
「奏は友だちっていうより、親友でしょ」
「あ、な~んだ。そういうこと」
その後もセイレーンは響につきまとい、着々と響のことを調べていきます。
親友はたったひとり、親友とはやさしい人、格闘技は見るのもするのも大好き、イチゴクリームをサンドしたマカロンが好き、ゴミを道端に捨てていく人がキライ、目立たずひっそりと咲く花が好き・・・・・・。
そして翌朝。
登校する響の前に、ひとりの女の子が現れました。
その胸元には、セイレーンがいつも身に付けている禍々しいペンダントが光っています。
「あのー、すいません」
「今日からアリア学園に通うことになった、北条さくらといいます」
「へー、わたしと同じ名字だよ」
さくらと名乗った少女は、道に迷ったふりをして響といっしょに登校することになりました。
「あ、サクラソウだ! かわいい」
「サクラソウが好きなんだ」
「はい。こうやって目立たず、ひっそりと花を咲かせるところがかわいいんです」
「へえ~、わたしもまったく同じ!」
昨日、響が見つけたサクラソウを、同じように愛でるさくら。
響はお互いが似た感性を持っていることをよろこんでいます。
「ねえ、部活はもう決めたの?」
「まだです。前の学校では柔道をやってたんですけど」
「本当? わたしも今、助っ人でやってるんだ」
「奇遇ですね! じゃあ、テレビとかで格闘技見るの好きじゃないですか?」
「好き好き! だけど、そういう女の子って少ないでしょ? なかなか話せる相手がいなくてさー」
「わたしでよかったら、ぜひ話しましょうよ! イチゴクリームのマカロンでも食べながら!」
「それ、わたし一番好き!」
昨日調べたことを、これでもかというくらい会話につぎ込んでくるさくらことセイレーン(笑)。
すると、突然さくらが走り出しました。
そして、物陰にしゃがみこんでカバンに手を入れると、
空き缶を取り出し、それをあたかも今拾ったかのように、響に見せました。
「わたし、ゴミを道端に捨てていく人って、大キライなんです」
どこまでも自分と似ているさくらに、響はどんどん心をひらいていきます。
そして――――、
「わたし、響さんとは運命的なものを感じるんです!」
「友だちになってください!」
「ううん、本当のことを言います。わたし、これまで親友と呼べる人がいなかったんです」
「だから、響さんが親友になってくれたら、どんなにうれしいか・・・」
「そんなのお安いご用だよ!」
「本当ですか!? うれしい・・・」
と、泣き落としをしたセイレーンの手には、嘘泣き用の目薬が隠されていました。
そこへ奏がやってきたため、セイレーンはひとまず退散。
「だから、響さんが親友になってくれたら、どんなにうれしいか・・・」
「そんなのお安いご用だよ!」
「本当ですか!? うれしい・・・」
と、泣き落としをしたセイレーンの手には、嘘泣き用の目薬が隠されていました。
そこへ奏がやってきたため、セイレーンはひとまず退散。
無事に響と親友になることができ、「ニセ親友大作戦」の第一関門突破です。
その日の放課後、響が奏と仲良くおしゃべりしながら掃除をしているところを、さくらが強引に校舎裏へと誘いました。
「響さんはわたしの親友ですよね」
「うん、そうだよ」
「じゃあ、なんであの人と仲良くするんですか!?」
「奏のこと? 奏もわたしの親友だから」
その言葉に、さくらは大げさに驚きます。
「ええええ! 響さんの親友って、わたし一人じゃないんですか?」
「別に何人いたっていいじゃない。奏も親友、さくらも親友でさ」
「そうですよね・・・ワガママ言って、ごめんなさい!」
さくらは涙声で走りだしていきました。
そして一人になったセイレーンは・・・・・・。
「手ぬるかったか・・・親友の座を奪うには、もう一押し必要ね」
その夜、響の家の電話が鳴りました。
筋トレをしながら電話に出る響。
かけてきた相手は奏でした。
「あのさ、急なんだけど、響との親友関係やめていいかな」
「え? なんで?」
「わたし、他の親友ができたから」
「だれ? わたしの知ってる人?」
「響には関係ないでしょ」
「関係なくない。第一、ほかの親友ができたからって、わたしと親友やめなくたっていいじゃない」
月夜の中で携帯電話を握るのは、さくらに化けているセイレーンでした。
「親友はひとりだけって決めてるから」
「あっそ!じゃあわたしはただの友だちってわけだ」
「それもやめたいの」
「一体なんなのよ! なにかわたしに不満でもあるの?」
笑みをこらえながら、さくらが奏の声で話しています。
「あるわよ。響ったら、あんな泣き虫の転校生と仲良くしちゃってさ」
「そんな言い方しないで! さくらはとってもいい子だよ」
せき立てられるようにそう言うと、さくらは電話を切りました。
満月の光の中で、先ほどの響の言葉が頭のなかにひびきます。
「今日のお月様、なんかやな感じ・・・」
翌日、なにも知らない奏が登校してきました。
「おはよう、響」
しかし、響は返事をせずに足早に歩いていきます。
「わたしとはもう口をきかないんでしょ」
「ちょっと、なにそれ」
「新しい親友ができたから、わたしとはもう友だちでもなんでもないんでしょ」
「なんのこと言ってるの?」
「昨日の電話よ!」
物陰から様子をうかがっていたセイレーンがここで飛び出しました。
電話の話をされては、だれかが奏のふりをしていたことがバレてしまいます。
「あの、あの、ごめんなさい!」
さくらはふたりの前で頭を下げました。
「さくらがなんで謝るの?」
「昨日、あたしがワガママ言ったからですよね。響さんの親友はわたしだけだなんて」
「でも、思い直したんです。響さんの親友は、やっぱり奏さん・・・」
「あたしは、響さんの友だちでいられるだけで、幸せだって・・・」
「さくら・・・」
「だから、これからもあたしの友だちでいてください! お願いします!」
「よしてよ。さくらとわたしは親友のままだよ」
響はゆっくりとさくらに近づき、顔を上げたさくらと向きあいました。
「・・・本当ですか?」
「うん!」
そう言った響の顔が、どういうわけか滲んで見えてきて・・・・・・、
「涙もろいのも同じだね。やっぱり、わたしとさくらって気が合うみたい」
(まだ目薬使ってないのに・・・どうしちゃったの、あたし・・・)
涙をぬぐうさくらの前で、響は奏に黄色いシュシュを差し出します。
「これ、返す」
「行こ! さくら」
わけがわからない状態の奏を置いて、響とさくらは教室へ向かいます。
響と手をつないで廊下を歩くさくらは、親友ができたことをよろこび――――いや、そもそもの目的はプリキュアのハーモニーパワーを下げることだったはずで――――。
自分の気持ちに混乱するさくらの前で、柔道部員の一人が怪我をしてしまったとの報告がありました。
柔道部の試合は今日の放課後です。
そこで、響は転校前の学校で柔道部に入っていたというさくらに頭を下げました。
「おねがい、今日の試合に出てくれない!?」
しかし、柔道をやっていたというのは口からでまかせ。
響に話をあわせるためだけにそう言ったにすぎません。さくらは理由をつけて断ろうとしますが――――、
響のこの表情に、なぜだか口が動いてしまいます。
「いえ、親友の頼みとあらば、断るわけにはいきません!」
「ありがとう! さくら!」
抱きつかれたセイレーンは、複雑そうな顔をみせました。
そして迎えた柔道部の試合。
そして迎えた柔道部の試合。
3人vs3人の団体戦形式で行われます。
まず、初戦はさくらの出番!
しかし、響に気に入られるためだけに柔道をやっていたと嘘をついていたさくらは、試合開始と同時に投げ飛ばされてしまいました。
さて、こちらは教室の中。
なぜこんなことになってしまったのか全くわからないまま、奏はひとり、ため息をつきます。
わけのわからないケンカに巻き込まれてしまっても、頭に浮かんでくるのは響の笑顔です。
奏は意を決したように立ち上がりました。
その右手には、響につき返された黄色いシュシュがあります。
奏が柔道場に顔を出したとき、アリア学園の柔道部部長が副将戦に勝っていて、星の数は1対1。
しかし――――、
相手の大将は執拗に響に足払いをかけてきます。
いえ、もはやこれは足払いではなく、蹴りです。
響の足を痛めつけるためのキックです。
そう気付いた響に、相手は不敵な笑みを投げかけます。
それを見た響はムキになって少し強引に攻めてしまい、逆に相手に投げられて技ありを取られてしまいました。
立ち上がろうとした響は、右足に痛みを覚えます。
真っ赤に腫れ上がった足を見たさくらは、棄権を提案します。
この足ではそれもやむを得ないと、部長もうなずきますが・・・・・・。「響はやりたいんだよね」
奏が包帯を手に、響のもとへやってきました。
奏の目から見ても、相手はわざと響の足を痛めつけてきています。
響はそんな相手には負けたくないのです。
「無責任なこと言わないでください!」
さくらが声をあげました。
「本当の友だちなら止めるべきです! それがやさしさというものです!」
「わたしが知ってる響は、これくらいのことであきらめたりしない」
「あきらめたら、あとで絶対に後悔する」
「友だちでもないあなたに、響さんのなにがわかるんですか!?」
「決めるのは響だよ」
包帯を巻き終えて、奏は響に気持ちを訊ねました。
「わたし・・・やるよ」
痛みをこらえて立ち上がる響に、奏が手を差し伸べます。
「これ、お守り」
「ここで決めなきゃ女がすたる」
シュシュで髪をまとめながら、いつものセリフを静かに口にしました。
さくらが心配そうに見つめるなか、試合再開。
シュシュで髪をまとめながら、いつものセリフを静かに口にしました。
さくらが心配そうに見つめるなか、試合再開。
痛みで動きがにぶい響を見て、相手が投げ技をかけてきます。
痛めた右足で踏ん張る響。
痛みに顔をしかめながらも、一気に相手を投げ飛ばしました。
見事に一本!
みんなが響に駆けより、奮闘した響をもみくちゃにします。
(やだ・・・あたし、感動しちゃってる・・・・・・)
(・・・でも、あたしに、このふたりみたいな親友が・・・・・・)
そんなセイレーンの横で、ハミィが知ったような顔をして言いました。
「やっぱり親友とはいいもんだニャ~」
「お前が言うか、ハミィ!」
つい、いつものようにツッコミを入れてしまうセイレーン(笑)。
しかし、天然ボケのハミィはさくらが自分の名を呼んだことに疑問を感じることはなく、人前でしゃべってしまったことをあわててごまかそうとします。
そのやりとりを見ていた響と奏の視線に気付いたさくらは、その場から走って逃げ出しました。
「まさか・・・・・・」
響はすべてを悟ったようです。
「セイレーン!」
追いかけた響は、その名前で呼びかけました。
さくらは逃げる足をピタリと止めます。
「ゆうべの電話、あんただったのね」
「・・・ぜんぶ作戦だったなんて・・・・・・」
「さくらのこと・・・本当の親友だと思ったのに!」
「もう・・・わたし、バカみたい・・・」
泣き崩れる響を、奏が支えます。
暗い影の中で、さくらは立ちすくんでいました。
そして、響のほうへ向き直ったとき――――、
黄色のシュシュに「伝説の楽譜の音符」がくっついているのを発見。
どこに隠れていたのか、トリオ・ザ・マイナーが現れ、セイレーンはネガトーンを作りだします。
こうなっては戦う以外にありません。
ふたりは決めゼリフとともに変身します!
プリキュア・モジュレーション!
しかし、今日はキュアメロディの足の具合が思わしくありません。
いつもならメロディが先頭に立って真っ先に戦うところですが、今日はキュアリズムがネガトーンに立ち向かっていきます。
「ここはわたしがなんとかする!」
「メロディはここでドーンとかまえてて」
ネガトーンに向かっていくリズムを足止めすべく、セイレーンの音符攻撃!
リズムはそれを見事によけていきます。
「わたしの親友を泣かさないでよ!」
リズムが音符を弾き返し、見事にセイレーンに命中!
さらに、セイレーンに当たった音符はネガトーンの右足へと飛んでいき、その巨体がバランスを崩して倒れました。
「今よ、メロディ!」
ドーンとかまえていたメロディが、ここで必殺技です!
プリキュア・ミュージック・ロンド!
フィナーレ!
無事に「伝説の楽譜の音符」を手に入れたメロディたちの前で、セイレーンは捨てゼリフとともに姿を消しました。
「これ、ありがとう・・・・・・今日はごめんね」
ふたりは無事に仲直り。
これでめでたしめでたしです。
そして、宿題の発表の日。
響は親友である奏との友情を作文にして、みんなの前で発表しました。
そして次は、奏の番。
「わたしの友だちは、スイーツです!」
「なにそれ!?」
盛大にずっこける響に、
「だから響は親友で――――」
と、響が奏に言っていたヘリクツを返すのでした(笑)。
さて、ケンカ回として特集しましたが、響と奏の仲のよさが浮き彫りになっていた回でしたね(笑)。
とはいえ、ここでの見どころはやはりセイレーンでしょう。
この時点では、後にセイレーンがキュアビートとなって仲間になることなど、だれも知りません(セイレーンがキュアミューズではないかという疑惑は出てきますが)。
そんななかで、セイレーンが響との友情にこころを動かされそうになるシーンは、とても印象的でした。
作戦のために正体を隠して響に近づき、響と親友になろうとし、響と親友になれたことをよろこんでいるセイレーン。
特に、響が足を痛めたときの彼女の言葉は、本心からのものだったのではないかと思えます。
あのシーンは、棄権を勧めるセイレーンと試合に出ることを後押しする奏を対立軸として描き、結果的に響は奏の言葉を選びました。
しかし、セイレーンの言葉は、友だちに向けたものとして決して間違っているわけではありません。
ただ、奏は響と付き合いが長く、響のことをだれよりもよく知っているからこそ、セイレーンには言えないことが言えたのです。
作文の宿題で響たちが考えていた「友だち」と「親友」の違いが、ここにあったのではないでしょうか。
セイレーンの言葉は、友だちに向けるものとして決して間違っていないと思います。
本心から響のことを心配して、棄権するように言っていたのです。
ただ、響の性格や考え方を、彼女の「親友」である奏ほど熟知していたわけではなかったというだけなのです。
これはつまり、セイレーンが奏と同じくらい響とお互いによく知り合うことができたなら、そのときこそふたりは親友になれる、そんな彼女たちの近い未来のことを暗示していたのではないでしょうか。
Youtubeはじめました。
プリキュア関連の動画をアップしてますので、よかったら見に来てください。
↓こちらのリンクからジャンプできます↓
0 件のコメント:
コメントを投稿