夏木ひつじです。
プリキュアの大きな特徴のひとつといえるのが「戦う女の子」という点でしょう。
そこで、今回はプリキュアの「バトル」にスポットを当てて紹介していきたいと思います!
プリキュアの長い歴史の中で様々なバトルが繰り広げられてきましたが、その中でも特に熱いバトル、かっこいいバトル、唸るようなバトルをご紹介していければと思います。
名づけて「プリキュア・バトルセレクション」!
というわけで、記念すべき第一回にご紹介するのはこちら!
「YES!プリキュア5」第34話「ミルクを守れ!白馬の騎士かれん」です!
タイトル通り、かれんさんが主役となる今回。
水無月家の所有する広大な馬場でかれんさんが愛馬のチャーリーを走らせているシーンから物語ははじまります。
かれんさんの馬術の腕前にみんなが惚れ惚れとする中、ミルクだけいつもの元気がありません。
顔が赤く、汗もかいています。
ココとナッツに「チャーリーに乗ってみな」とうながされますが、ミルクは馬の背中に飛び移ると、そのまま倒れこんでしまいました。
かれんさんが抱き起こすと、すごい熱があります。
そのまま水無月邸へ運び、ベッドに寝かせましたが、ミルクは苦しそうにあえいでいます。
ココによると、どうやらこの世界でいう風邪のような症状なのですが、パルミエ王国の住人には人間界の風邪薬は効き目がありません。
パルミエ王国では病気はピンキーが治すもの。
病気を治すのは「キャッピー」という名のピンキーにしかできないというのです。
あいにく、これまでのぞみたちが集めてきたピンキーの中にキャッピーはいませんでした。
「それなら早く探さなきゃ!」
のぞみの言葉にみんなが頷きます。
「ミルクも・・・お供しますミル・・・」
ココたちの役に立とうと起き上がろうとするミルクですが、とてもそんなことができる状態ではありません。
かれんがミルクをベッドに寝かせ、布団をかけ直します。
ミルクのことはかれんに任せ、ピンキーはのぞみたちで探すことにしました。
ミルクは熱にうなされながらも、ココたちのためにナッツハウスで食事の用意をしなければと言います。
のぞみたちにはいつも辛辣なミルクですが、パルミエ王国のお世話役見習いとしての職務には責任感を持っているのです。
そんなミルクを見ながら、かれんさんは自分にできることはないだろうかと考えを巡らせます。
思い浮かんだのは、自分が子どものころに風邪をひいて寝込んだときの記憶でした。
あのとき、執事のじいやが看病してくれたことを思い出し、じいやに看病の仕方を教えてもらいに行きます。
「どなたかお知り合いの方がご病気にでも?」
じいやが尋ねますが、ミルクのことを話すわけにはいきません。
一瞬言葉に詰まったかれんさんですが、
「そうなの」
真剣な顔で頷きます。
そんなかれんさんの様子にじいやは深く詮索することなく、看病の仕方を丁寧に教えました。
熱を下げるため氷水でタオルを冷やすこと。
汗をかくので時々体を拭いてあげること。
こまめに水分を摂らせること。
なにか食べられるようならりんごを食べさせてあげること。
相手が小さな子どもなら、すりおろしたりんごがいいということ。
そのひとつひとつの説明を、かれんさんは真剣な眼差しで聞いています。
自分が子どものころ、風邪をひくたびにじいやがこんなに大変なことをしてくれていたのだと今さらながらに気付いたかれん。
「いいえ。大変ではございません」
「お嬢様にはいつも元気な笑顔でいてほしいですから」
その言葉に、かれんは礼を言いました。
(わたしも、ミルクに笑顔でいてほしいから・・・)
(わたしは、ミルクの笑顔が大好きだから・・・)
献身的に看病するかれんさんに、ミルクは苦しみながらも笑顔を向けます。
そんな中、ナイトメアの幹部・ハデーニャが水無月邸に攻め込んできました。
のぞみたちはピンキーを探しに外へ出ています。
今、戦うことができるのは自分しかいません。
かれんさんは一人でハデーニャを迎え討ちました。
「お前だけかい?」
「わたしだけよ」
「おかしいねえ、あたしにはパルミエ王国の奴の気配を感じるよ。そいつが持ってるんじゃないの? ドリームコレットをね!」
「ミルクのところへは、行かせない!」
「それじゃあ始めるとしようか?」
ハデーニャは水無月邸の馬房にあった鐙を馬のコワイナーに変え、自らも怪人の姿となって馬にまたがり、かれんさんと対峙します。
プリキュア、メタモルフォーーーゼ!
知性の青き泉、キュアアクア!
さあ、いよいよキュアアクアとハデーニャの壮絶な一騎打ちが始まります。
二人は地を蹴ってまずは空中戦。
華麗にキックを決めるアクアですが、ハデーニャとコワイナーのふたりを相手に一人では太刀打ちできません。
一撃でアクアを吹き飛ばしたハデーニャは、ナイトメアの目的であるドリームコレットを手に入れるため、水無月邸へと歩を進めます。
しかし、アクアは立ち上がります。
今、水無月邸には無防備なミルクがいるだけです。
ミルクを守るため、先へ行かせるわけにいきません。
「ミルクのところへは・・・行かせない!」
しかし、やはりハデーニャは強かった。
ベッドで眠るミルクの元に、アクアの叫び声が聞こえてきます。
アクアを助けなければと起き上がるミルクですが、歩くことはできず、ふたたびベッドに倒れ込んでしまいました。
そしてこちらもハデーニャの前にふたたび倒れたアクア。
もはや絶体絶命です。
ハデーニャがアクアにトドメを刺そうとしたそのとき、無事にピンキーを探しだしたココとナッツ、そしてのぞみたち4人が割って入りました。
4人でメタモルフォーゼ!(省略)
プリキュア4人を前にしてもハデーニャは余裕しゃくしゃく。
木の立て札を剣に変えて、4人に向かっていきます。
迎え撃つドリーム、ルージュ、レモネード、ミント。
4人で突撃!
が、
ハデーニャ、強い・・・
コワイナーに攻撃を食らわせることはできるのですが、馬上にいるハデーニャの剣撃がとても強力で、手も足も出ません。
そんな中、ふたたび立ち上がったアクアの元に、愛馬のチャーリーが駆け寄ってきました。
満身創痍のアクアですが、アクアリボンの水の力を剣の形に変え、チャーリーに跨ってハデーニャと対峙します。
「ミルクのところへは、行かせない!」
「ハハッ、面白い!」
まるで戦国武将の一騎打ちさながら、二人は剣を交えます。
ハデーニャの剣を受けるたび、大きく跳ね飛ばされそうになるアクアですが、手綱は決して離しません。
地に伏せたプリキュア4人が見守る中、アクアは力を振り絞り、ハデーニャに渾身の一撃を放ちます。
鬼気迫るアクアの剣撃にたじろぐハデーニャ。
作画までもが劇画調になっています!
そしてついに、アクアの剣がハデーニャとコワイナーを弾き飛ばしました。
倒れこむハデーニャとコワイナー。
一方のアクアも衝撃で吹き飛びますが、うまく着地を決め、チャーリーも寄り添うようにアクアの元へ駆け寄ります。
「言ったはずよ!」
「ミルクのところへは、行かせない!」
倒れ込んでいるハデーニャをよそ目に、コワイナーがアクアのほうへ突進してきます。
しかし、もはや一体のコワイナーなどアクアの相手ではありません。
岩をも砕く乙女の激流、受けてみなさい!
プリキュア・アクアトルネード!
コワイナーを撃破されたハデーニャは、ナイトメアへ撤退していきました。
ともに戦ってくれたチャーリーをねぎらいつつ、アクアは4人とともにミルクの元へ戻ります。
ピンキーの力で目を覚ましたミルク。
迷惑をかけたことを、あのミルクがみんなに謝ります。
元はといえば自分たちのために無理をさせていたからだと、ココとナッツは日頃のお礼で返しました。
その様子を微笑ましく見守る5人。
そこへ、お茶とお菓子の用意ができたとじいやの声をかかります。
いの一番に走り出していくのぞみと、負けじと飛び出すりんとうらら。
あきれ気味に後を追うこまち。
いつも通りの光景がそこにはありました。
ひとり部屋に残ったかれんに、ミルクが手を重ねます。
「かれん・・・」
「タオルを替えてくれたり、りんごを食べさせてくれたり、ナイトメアから守ってくれたミル」
「ありがとミル・・・かれん」
「いいのよ。わたし、ミルクの笑顔が大好きだから」
ミルクがかれんさんの胸に飛び込んで、めでたしめでたしです。
さて、「バトルセレクション」などと銘打っておきながら戦闘以外の部分にも多く文章を割いてしまいましたが(笑)、この回は「5」シリーズの中でも大きなターニングポイントになった話でした。
「プリキュア5」のテーマは夢。
しかし、今回の主人公・かれんさんは勉強もスポーツも得意でありながら、明確な将来の夢を思い描けずにいました。
それがミルクの看病を機に「将来は医者になる」という目標をもって生きていくことに決めたのです。
そして、ワガママで腹黒でのぞみたちにいつもキツい言葉を浴びせているミルクですが、この回を境にかれんさんに対してだけはとても好意的な態度になるのです。
それは「5GoGo!」や「オールスターズ」でも変わらず、美々野くるみとなったミルクがかれんさんに寄り添うシーンも多く見られます。
この回は「主従関係」も着目すべきことのひとつでしょう。
小さいころから何不自由なく育ってきたかれんさんは、執事のじいやが面倒を見てくれることのありがたみを今になって知ることができました。
そしてパルミエ王国の王子であるココとナッツも、お世話役見習いとしてまだまだ至らない部分はあるものの一生懸命に働いているミルクの疲れや体調の変化に、この日になるまで気付くことはできませんでした。
そして気付いたと同時に、彼らは感謝の気持ちを述べています。
さらに、かれんさんの愛馬・チャーリーと、ハデーニャとコワイナー。
馬上での一騎打ちというプリキュアとしては異例の戦いとなりましたが、アクアとチャーリーがお互いを気遣いながら共に戦ったのに対し、ハデーニャにはコワイナーを気にするそぶりが一切ありません。
コワイナーがプリキュアたちの攻撃を受けてひるんでいても、ハデーニャは自分がプリキュアを攻撃することしか考えていないのです。
そして最後にアクアがハデーニャを弾き飛ばしたとき、チャーリーがアクアに駆け寄ったのに対して、コワイナーは倒れているハデーニャを無視してアクアに突進します。
もしもこのときコワイナーがハデーニャの元へ駆け寄って態勢を立てなおしていたとしたら、最後の力を使い果たしたアクアに勝機はなかったことでしょう。
この回のバトルには、そうした要素が決して説明的ではなく、さりげない描写の中で見せる形で描かれているのです。
主従の(あるいは対等な立場としての)信頼関係の成り立ちと、それに対して感謝する心を持つこと。
特にかれんさんやココ・ナッツが、じいややミルクの献身に気付けずにいたことは、彼らのように身の回りの世話をしてくれるのが当たり前の環境にいる人だけではなく、私たちが普段何気なく見過ごしている生活上のあらゆる場面にも当てはまることかもしれません。
バトルに着目して取り上げたこの回ですが、そんなことに気付かせてくれる一編でもありました。
Youtubeはじめました。
プリキュア関連の動画をアップしてますので、よかったら見に来てください。
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