夏木ひつじです。
本日お送りするのはカオス回特集の第2回目。
今回もかなりハジケてますよ!
それでは、さっそく行ってみましょう!
「ハートキャッチプリキュア!」から、第18話「最強伝説!番長登場、ヨロシクです!!」。
「ハートキャッチ」は、毎回ひとりの被害者の方にスポットを当て、そのこころの悩みや苦しみを描くことが特徴となっています。
今回の被害者は、明堂学園を仕切るこわ~い番長さん。
えりかもビビりまくりです!
帰りのホームルームが終わり、思い思いに雑談をする生徒たちで教室の中がざわめいています。
みんなが帰り支度をはじめるいつもの風景でしたが、そんな中、
ゴン
と大きな音が教室に響きます。
みんなが音のしたほうを見ると、クラスの番くんが、その長身のせいで頭を扉の枠にぶつけていました。
無口で硬派なイメージを持つ番くんのその姿に、教室内でクスクス笑いが起こりましたが、次の瞬間――――、
番くんの鋭い眼光がギロリと教室内を睨みます。
青くなるクラスメイトたち。
つぼみだけはなんとも思ってないようですが、クラスのみんなは番くんの迫力にビビりまくってます。
番くんがそそくさと帰っていき、いつもの空気が戻ったのも束の間、担任の鶴崎先生が番くんに渡すはずだったプリントを渡しそびれてしまいました。
「じゃあ、わたしとえりかで届けます」
なんの気なしに言ったつぼみの一言に、えりかはガクガクと震え出します。
転校してきたばかりのつぼみは、番くんの怖さを知らないのです。
えりかは番くんが持つ数々の武勇伝を、つぼみに(紙芝居風に)話して聞かせました。
とある公園に、この地域を闊歩している番長たちが集まっていました。
よくわからないですが、番長がたくさんいたんですね(笑)。
子どもたちが公園で遊べずに困っていたところを、たまたま通りかかった番くんが彼らをひと睨みで震え上がらせてしまったというのです。
言葉の意味が重複していますが、そんな細かいことを気にしてはいけません!
BIG大番長の登場に不安げな生徒たち。
貴重な1年生次のえりかのショットです。
そこへ現れた番くんがひと睨みすると、
泣いて逃げ出すBIG大番長でした。
しかし、そんな番長伝説を聞いても、つぼみにはピンときません。
えりかは「なんか怖いんだよね~」と言いますが、無口で無愛想な番くんを、つぼみは寡黙で真面目な人だと思っているのです。
そんな話をしながら到着した番くんの家は、西洋風のりっぱな豪邸でした。
どうやら番くんは、見かけによらずおぼっちゃまのようです。
どうやら番くんは、見かけによらずおぼっちゃまのようです。
現れた番くんのお母さまにあいさつをするつぼみたちでしたが、番くんはまだ帰ってきていないとのこと。
自分たちより早く学校を出たはずなのに・・・と不思議がるつぼみに、どこからか飛んできた消しゴムが命中しました。
消しゴムの飛んできた方向を見ると、
物陰に隠れた番くんが、なにも喋るなというジェスチャーをしています。
が、そのジェスチャーにまったく気がつかないつぼみ。
お母さまに番くんがいることを伝えようとします。
全く意図が伝わってないつぼみに番くんが睨みをきかせると、
つぼみには効き目がありませんでしたが、代わりにえりかがビビってます。
つぼみの手を取り、えりかは逃げるようにして走り出しました。
そして、なぜか追ってくる番くんと、しばしの追いかけっこ。
山の上にある神社まで逃げてきたえりかでしたが、このままではラチが開かないと、番くんのほうへ向き直ります。
逃げまくるえりか。
覚悟を決めて振り向きますが、
えりか百面相。
思いっきり泣いてます(笑)。
しかし、急に立ち止まって手を離したために、つぼみが反対方向へ振られてしまい、
長い石段の上から――――
真っ逆さま!
そこへ伸びる番くんの手。
すんでのところで番くんに助けられました(あわや大惨事です!)。
ようやく番くんに先生からのプリントを渡すことができたつぼみたち。
番くんと話してみると、えりかが抱いていた怖いイメージはあんまり感じられません。
ところで、先ほどつぼみを助けたときに番くんのカバンが石段を落ちてしまっていたそうで、つぼみとえりかが拾いに行きました。
しかし、落ちた衝撃で留め具が外れてしまっていて、中身がちょっと外に出ています。
それに気付いた番くんはあわててつぼみたちを止めましたが、時すでに遅く、中身を見られてしまいました。
その中身というのが――――、
番くんが自作したプリキュアの漫画でした!
「ハートキャッチ」の世界では、プリキュアは正義の味方としてみんなに知られているのです。
「それにしても番くんが漫画描いてたなんて」
「なんでプリキュアなんですか?」
「かわいいじゃないか///」
番くんは恥ずかしそうに言いました。
だれにも言うなよ、と念を押す番くん。
特にお母さまには知られたくないそうです。
漫画とは無縁のお固い家で育ってきたお母さまは、番くんが将来漫画家になりたいと言い出したら心配するだろうというのです。
母親に心配をかけたくない番くんは、学校の帰りに寄り道をして、隠れて漫画を描いていたのでした。
「番長って案外やさしいんだね」
えりかの言葉に、その番長というウワサも困ったものだと言います。
公園の番長たちを震え上がらせたのは、漫画のネタに詰まって不機嫌になっていたせいで目つきが悪くなっていただけのこと。
BIG大番長が乗り込んできたときは、番長の脱ぎ捨てた学ランが花を押しつぶしていたのが気に入らなくて睨んだだけというのです。
「俺ってそんなに怖いか?」
公園の番長たちを震え上がらせたのは、漫画のネタに詰まって不機嫌になっていたせいで目つきが悪くなっていただけのこと。
BIG大番長が乗り込んできたときは、番長の脱ぎ捨てた学ランが花を押しつぶしていたのが気に入らなくて睨んだだけというのです。
「俺ってそんなに怖いか?」
つぼみの眼鏡は、「ハートキャッチ」の作品テーマである「チェンジ」の象徴です。
これは私の深読みかもしれませんが、ここでつぼみは、番くんにこれまで人に抱かれていた怖いイメージを「チェンジ」するように促しているのではないかな、と思ったりしました。
そしてそして、この場面を境にこの回のカオスっぷりもヒートアップしていくのです!
番くんが描いたプリキュアの漫画を読みたいというえりかに、番くんは俺が解説してやるよと言います。
突然、背景が番くんの漫画になりました。
「今日も今日とて町の平和を守るキュアブロッサムとキュアマリン!」
講談師のように喋りだした番くんに呆然とするえりか。
「しかし、キュアブロッサムには片想いの相手がいた!」
「ええええええええええ!」
「その相手は、花を愛する寡黙な男・ケン!」
どう見ても(?)作者の番ケンジくん本人です。
「しかし、ブロッサムはマリンの秘密を知ってしまう」
「なんとマリンもケンに片想いしていたのだ!」
「ええええええええええ!」
「想い悩んだブロッサムはついに決心した!」
「マリンのために自分が恋のキューピットを買ってでようと!」
「なんかベタベタな展開かも・・・」
「ステキです! 続きはどうなるんですか!?」
しかし、番くんは続きを言いませんでした。
実は、とある漫画コンクールに投稿するつもりだったのだそうですが、締め切りは明後日。
とても間に合いそうにないのだと言います。
「それなら、わたしたちが手伝いますよ!」
明日は学校がお休みなので、えりかの家に集まって集中作業することにしました。
「まんがの描き方」という本を書店で見つけ、つぼみとえりかは気合十分!
えりかたちはファッション部の活動でデッサン画を描いたりする場面が何度か出てくるのですが、ふたりとも絵が上手いんですよ。
翌日、3人はえりかの部屋に集まりました。
まずは番くんから漫画アシスタントのレクチャーを受けます。
「こう、下書きにペンを入れて」
「消しゴム」
「ベタ入れ」
「はみ出した部分をホワイト」
「おお~!」
まるで本物の漫画のようだと、つぼみとえりかは感激します。
締め切りは明日。
ここから3人による怒涛の執筆作業がはじまります!
「ベタだ! ×印を塗りつぶしてくれ!」
「まかせて!」
「ホワイトだ! はみ出した部分を修正してくれ!」
「はい!」
「来海、ベタはみ出てる!」
「ああ~、ごめん!」
「人物の線を消してしまいました~!」
「気にするな、俺が書き直す!」
「それより、ブロッサムとマリンにスクリーントーンを!」
「はいです!」
みんなの勢いに乗って手伝っていたシプレとコフレがバレそうになり、つぼみたちはあわててごまかします。
「それより、次の原稿は?」
話を逸らそうとするえりかに、この先はまだ決まってない、と番くんは答えました。
ラストは、ケンをめぐってケンカしてしまったブロッサムとマリンが仲直りするシーンにしようという腹案はあるそうなのですが、そこにいたるまでの話ができていません。
そこで、つぼみとえりかがキュアブロッサムとキュアマリンを演じて(本人ですが)、話を作っていくことにしました。
演技など自分にできるのだろうかと不安げなつぼみに、
「女優になりきるのよ、つぼみ!」
と、えりかがビシっと指さします。
つぼみは目を閉じ、
「わたしは女優、わたしは女優・・・」
とつぶやきます。
以前、カンフー少年を題材にした回でも同じように精神集中していたつぼみです。
思い込みやすい性格のためか、目を開けたとき、彼女はりっぱな女優になっていました。
「ええ、マリンの言うとおり。わたしもケンのことが好きです!」
つぼみの好演にえりかも負けていられません。
「なんでなの? なんでそれを早く言ってくれなかったの?」
「マリンはかつてこう言いました。わたしたちは二人でプリキュアだって」
ふたりの演技に引き込まれる番くん。
いつのまにか背景にコマ割りが付いています。
「・・・私には・・・恋よりも・・・プリキュアの方が・・・大切なんです」
「私も同じ想いよ! 恋なんていらない!」
「私たちは――――」
「二人でプリキュアよ!」
「キュアブロッサム」
「キュアマリン」
なんだかものすごい迫力でストーリーは完成しました。
「二人でプリキュア」の「二人」が漢字になっているのは、おそらく、これはパロディであって本家とは別物ですよ、という配慮なんでしょうね。
そんな二人の演技にモーレツに感動した番くんは、あふれる涙を止めることなく、すぐに執筆作業に取りかかります。
と、そこへえりかのお母さんから声がかかりました。
なんでも番くんのお母さまがご挨拶にみえたそうです。
3人はあわてました。
漫画を描いていることをお母さまに隠している番くんは、みんなで勉強をするという名目でえりかの家に来ていたのです。
急いで漫画を片付け、勉強しているように見せかけた3人。
しかし、入ってきたえりかのお母さんは、昼間なのに部屋のカーテンが閉まっていることを不思議に思います。
なんかカーテンの調子が悪くて、とごまかすえりか。
開かないカーテンを無理に開けようとするお母さん。
カーテンの向こうでは、シプレとコフレが懸命にカーテンの裾を押さえています。
しかし、大人の人間の力にはかなわず――――、
隠していた漫画の原稿が部屋中に舞い上がりました。
私にも覚えがありますが、自分の熱中していることに親が干渉してくるというのは、思春期の子どもにとっては耐えがたい苦痛なのです。
それが親に隠したい事柄であるならなおさらでしょう。
しかし、なんとかごまかそうとするつぼみとえりかを制し、番くんはお母さんに正直に打ち明けました。
漫画を描いていたのは、僕です――――と。
勉強をしに来ていたのではないのかと質すお母さんに、番くんは嘘をついていたことを白状します。
お母さんはショックで言葉を失いました。
その様子を見た番くんは、目に涙を溜めて部屋を飛び出します。
(僕のことを信じきっているお母さまに嘘をついてしまった・・・)
(しかも、隠れて漫画を描いているのがバレたんじゃ、もう漫画を描くことはできない)
(でも、僕の夢は漫画家になること)
(僕はどうすればいいんだ・・・)
たどり着いた公園のベンチに座り、思い悩んでギロリと目を光らせた番くんを、たまたま通りがかったクモジャキーが目に留めました。
実はこの少し前(つぼみとえりかが「まんがの描き方」を読んでいたころ)、クモジャキーは番長を題材にした漫画を読んで感銘を受けていたのです。
その番長の迫力に近いものを番くんに感じたクモジャキーは、それとなく番くんの様子をうかがいます。
しかし、彼がプリキュアの漫画を描いていたことを知ると態度一変。
こころの花がしおれているのを見て、デザトリアンを作り出しました。
デザトリアンの媒体となったのは、番くんが持っていた漫画用のインクでした。
番くんを追ってきていたつぼみたちはデザトリアンに出くわし、こころの花を奪われてしまったことを知ります。
番くんのこころを取り戻すため、二人はオープン・マイ・ハート!
クモジャキーの長い髪を筆がわりに使って町中に色を塗っていくデザトリアンに、キュアブロッサムとキュアマリンが挑みます!
華麗に攻撃をかわすブロッサムと、
キックを決めるマリン!
そこへ、絵筆代わりにされていたクモジャキーが右手の拳に力を溜めます。
クモジャキーの必殺技「ビッグバン・クモジャキー・スペシャル」のポーズです。
しかし! ブロッサムとマリンは「二人でプリキュア」。
二人同時に必殺技を打って迎撃態勢!
マリン・シュート!
ブロッサム・シャワー!
技の激突は互角です!
そんな中、番くんのお母さまが番くんを心配して追いかけてきました。
幸い、戦闘地からは遠いようですが、番くんのことを心配しています。
「僕は漫画が描きたいんだよ・・・」
デザトリアンの声が響きました。
「僕の夢は、漫画家になることなんだ!」
「でも、お母さまを心配させるから、それは言えないんだ・・・」
「口べたなんだ・・・僕は・・・」
自らのインクで足を滑らせ、地面に倒れるデザトリアン。
倒れた痛みなのか、こころの苦しみなのか、まるで、こぼれるインクが彼の涙であるかのように、デザトリアンの悲痛な声が響き渡ります。
「ようは弱虫ぜよ」
鉄橋の上から見下ろすクモジャキーが、吐き捨てるように言いました。
「こんなウジウジした奴に、熱い漫画は描けんぜよ」
「ウジウジなんてしてません!」
同じ鉄橋に立ち、ブロッサムが反論します。
「番くんはやさしいんです!」
「番長にやさしさなんかいらんぜよ」
「強けりゃええじゃき」
「本当の強さは、本当のやさしさに宿るんです!」
「その番くんのやさしいこころを利用するなんて――――」
「わたし、堪忍袋の緒が切れました!」
出ました、堪忍袋!
こうなったらもうブロッサムのターンです!
集まれ、ふたつの花の力よ!
プリキュア・フローラルパワー・フォルテッシモ!
ハートキャッチ!
見事、デザトリアンを浄化して番くんのこころの花を取り戻しました!
目を覚ました番くんは、森の中でお母さまに介抱されていました。
番くんがお母さまになにか言おうとして、口ごもります。
「ケンちゃんの夢、聞かせてくれる?」
お母さまがやさしい口調で聞きました。
「実は僕、将来漫画家になりたいと思っているんです」
「お母さまから見たら、不安に思う世界かもしれませんが、僕は全力でその夢を追いかけたいんです」
「もちろん、私は応援しますよ」
「本当ですか?」
「当たり前です」
「子どもの夢を応援しない親が、どこにいますか」
「お母さま・・・」
お母さまは最初から番くんの夢を否定しようなどと思っていませんでした。
ただ、番くんが自分に嘘をついたことがショックだっただけのようです。
翌日、無事締め切りに間に合った番くんは、次の応募作をどの少女漫画誌に送るかでつぼみたちと盛り上がり、めでたしめでたしとなりました。
さて、「ハートキャッチプリキュア!」は思春期の子どもの悩みや迷い、こころの悲しみなどを描くという物語の性質上、話が重くなりがちです。
それを緩和するため、えりかをはじめとしたキャラの明るい掛け合いなどで楽しく見せるつくりとなっていますが、今回のように、その部分が上限なく突っ走ってしまうことも多々あります(笑)。
神社で番くんが解説をはじめたプリキュア漫画のシーンにはじまり、みんなで漫画を描いていくシーン、つぼみとえりかの演技が徐々に漫画仕立てになっていくシーンといった話の流れは、グイグイ引っ張っていく異様な勢いの連続でした。
漫画のストーリーを考えるためにつぼみとえりかがプリキュアの演技をするという展開の強引さも、もはや全く気になりません!
いい感じにはっちゃけている番くんのお母さまのキャラや、いつものように表情がくるくる変わるえりかなど、見どころがいっぱいの楽しい回でした!
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私もプリキュア好きなのでこのような形で出してもらえるのはうれしいです。
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